<介護老人保健施設はこの数年でその役割を大きく進化させてきました。介護が必要になってもご家庭で、地域の中で、暮らし続けていただくため中核的役割を担うことが求められています。「ここちの郷」も近年そのことを強く意識し、チーム作りを進めてきました。ひと口に「在宅生活」と言っても、介護が必要となった時に自宅でどう生活を続ければいいのか、病院から自宅に戻れるのか...、ご本人やご家族が大きな不安をお持ちになるのは当然です。そんなご本人やご家族の気持ちに寄り添いながら、具体的な未来図が描ける支援を心がけています。  法人の理念である「その人らしい普通の暮らし」を過ごしていただくために何より念頭に置いていることは「自立支援」、「自己決定」です。 そのために何が必要か、どんな形の支援があるか、専門職・支援者として考え抜き、検討しつくす必要がありますが、ここちの郷は多職種での連携とフットワークの軽さ、柔軟性が強み、毎日、専門職同士が切磋琢磨する環境が整っています。  「自己決定」を支援する中で、見えてきたものが地域との繋がりです。最近、地域の中での施設のあり方、自分達のあり方を論議する場面が増えて来ました。自分達のスキルを地域に活かしたい、地域の中でこそこの仕事の面白さがあるという発言を聞くたびにスタッフの強さとしなやかさを感じています。 「施設だから」「老健だから」という枠にとらわれない新しい介護を、境界を越えていける施設を目指しています。

介護老人保健施設ここちの郷 副施設長

愛須 和美