「きいと」はユニット型の特養として利用者様お一人おひとりが質の高い生活を継続できる施設と環境を備え、手厚いケアの実践に力を注いでいます。私自身、この六心会の介護職員として長く現場で「その人らしさ」を大切にする理念の実践に尽くしてきました。そのなかで身をもって感じたのは、介護という仕事は個々の研鑽に加え、他の職員、職種との連携なしには成り立たないということです。あらゆる場面において必要となるコミュニケーション能力は、誰もが努力と経験で身につけることのできる技術と確信しています。こうしたスキルやノウハウを運営という立場から伝えるとともに、現場の提案力も培っていくことで、「きいと」ならではのより質の高いケアをさらに充実させていけるよう努めてまいります。
 さらに「きいと」には、地域密着型の介護施設としての使命があります。すでに1階の地域交流スペースを拠点に、カフェや体操教室、ワークショップなどの取り組みが始まっていますが、まだまだ道は半ばです。やがては地域の人々が運営の主体となってくださるような企画が生まれ、気がつけばお子さんからご高齢者まで世代や立場を越えて人が集まっている、「地域の縁側」的な存在になることが理想です。そんな多彩なつながりのなかから、介護、福祉の枠を越え、これからの地域社会はどうあるべきかを一緒に考え、答えを導き出していくことができればと思います。そのために何が望まれるのか、何を実現すべきか、みなさんの力も借りながら、既成の概念にとらわれないやわらかな発想で、創造と発信を続けてまいります。

地域密着型特別養護老人ホームきいと 施設長

高口 誠