日本地域福祉学会第35回大会(愛知大会)に参加して

2021年612日(土)~13日(日)の2日間にわたり、日本地域福祉学会第35回大会(愛知大会)が開催された。大会事務局は地元の日本福祉大学。コロナ禍であり、大会はオンライン(ZOOM)開催となった。

大会1日目は「地域福祉、地域福祉研究への課題と期待」及び「地域福祉研究の変遷と展開」をテーマにした大きな2つのシンポジウムがあった。そして、大会2日目には地域福祉優秀実践賞授賞式・報告、日韓学術交流企画「コロナ禍での地域福祉」、緊急企画「コロナ禍で地域福祉は」と並行して、自由研究発表(口頭発表)が行われた。

今大会の自由研究発表は、18の分科会で合計69題が発表された。このうち、社会福祉施設を経営する社会福祉法人からの発表は当法人のみであった。当日午前の「第9分科会 社会福祉施設・社会福祉法人①」で「社会福祉法人の「地域における公益的な取組」の実践的考察―社会福祉法人六心会の展開過程から―」をテーマに報告した。

この報告を行ったのは、2016年の改正社会福祉法において、社会福祉法人に対して 「地域における公益的な取組」の実施に係る責務が規定され5年が経過する中、六心会における取組み履歴をまとめ、その展開要因を考察することで、今後の取組を展望したいという思いからであった。

そして、何よりも社会福祉法人自らが、日本地域福祉学会という場で自らの取組みを言語化して発信することが大切ではないかと考えたからであった。言語化して発信することで、評価を受けたり、助言や指導を受けたりすることができ、それが結果として、私たちが暮らす滋賀県東近江市五個荘(ごかしょう)地区の福祉の向上に寄与すると考えるからである。

報告の詳細は、当日報告資料の掲載に替えるが、この報告を通して、改めて考えたことがある。それは、社会福祉法人の存する地域は、ひとつとして同じところはないということである。そして、社会福祉法人の事業・活動は法律や制度だけでなく、地域課題によっても規定される関係性にあるということである。

六心会の「地域における公益的な取組」の実施体制は、五個荘という地域の風土、歴史、文化、暮らしに規定される福祉課題と、その地域に在る六心会という社会福祉法人が担うべき役割を、法人の経営戦略と判断により地域との関係から紡ぎ出してきたものであるのだ。

だかこそ、今後も、六心会は、各地域の社会福祉法人の取組から学び、情報交換をし、当事者として発信し続けることが大切であると思うのである。

(社会福祉法人六心会 法人本部 地域支援担当 奥村 昭)

当日の資料



アイキャッチの写真について…… 2020年、コロナ禍で福祉施設を利用してのこども食堂実施が難しくなった。民生委員さんの協力もあり、地域の神社で開催を企画検討、当の民生委員さん、市社協CSW、地区社協会長、隣接社福法人幹部など関係者で現地を下見した。写真は「いけそうやね!」とみんなで喜ぶシーン(最右が私、その横がもう一人の地域支援担当の辻)。神社を使わせていただいてのこども食堂は2021年も続いている。こどもたちの笑顔に救われ、住民の皆様との関係に助けられている。